日本において、労働者派遣法が制定され、労働者派遣事業を合法的に行うことができるようになり、既に33年が経過しました。この間、派遣事業が日本の労働市場において不可欠な就労形態として定着したことは事実ですが、労働者派遣法の趣旨や制度・手続きを正確に理解し、実務において実践されていると断言できるでしょうか。
通常の雇用形態(直接雇用)の場合は、雇用契約を結び賃金を支払う企業(雇用主)が労働者を指揮命令(使用主)して仕事をしてもらいます[雇用と使用の一致]。しかし、労働者派遣の場合は、雇用契約を結び賃金を支払うのは派遣元(雇用主)ですが、派遣労働者を指揮命令して仕事をしてもらうのは派遣先(使用主)となります[雇用と使用の分離]。
こうした雇用と使用が分離した形態において、①仕事を探す労働者の希望を踏まえ、的確な就業の機会と教育訓練の機会等を確保して、派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進を図ることができるか、②人材を必要としている派遣先の要望に応じて、的確な派遣労働者を派遣することにより、派遣先の生産性を向上させ、国際競争に打ち勝って行くことができるか、③派遣会社の内勤社員が派遣労働者と派遣先の両ニーズをベストマッチングさせることによって、誇りを持って仕事をすることができるか。
労働者派遣における当事者・三者の究極的な目的をどのように実現するか、それが突き詰めてみたいテーマです。
コンサルティング業務
人材ビジネスは、労働者派遣事業だけでなく、職業紹介事業、労働者募集、募集情報等提供事業、アウトソーシング等多岐にわたります。それらの事業の中で、実際に起こっている具体的な問題に関する相談や質問等について回答アドバイス等をさせて頂いています。人材ビジネスの適正な発展と誇りを持って仕事ができる環境作りを研究すると共に、その研究の成果をコンサルティングしています。
研修会・セミナーの企画と講師
人材ビジネスは人に関わる事業ですので、通常の物や商品等の取扱いとは全然異なる法律制度となっています。職業安定法や労働者派遣法等によって、厳格な法的ルールが定められていますので、その内容を正確に理解し、事業を運営することが必須です。そのために、労働関連法令を研究すると共に、研修会・セミナーの開催を企画し、実際に講師となり、具体的なケースを中心に、法の趣旨や制度内容、手続き等の理解・普及に努めています。
労働者派遣事業を行う上で必要な手続きと帳票書類
労働者派遣事業は複雑な仕組みにより構成されていますので、法律が定める制度内容や手続きを理解すると共に、手続過程の遵守と書類の作成が義務付けられています。その手続過程と各過程での書類の作成について、実際の現場において必要となる帳票書類を準備し、法律が目指すところを手続的に実現して行くことを研究しています。
労働者派遣事業に関する実務書籍やシステム構築
派遣事業についての研究を踏まえて、その研究成果を体系的に位置付けて、実務に役立つ書籍を執筆することや、派遣事業に関する手続き過程の中で、誰が担当しても法違反が起きないように、必須の事項を自動的に抽出し管理できるシステムを構築することも目指しています。